フルスタックエンジニアとは、開発業務を一人で幅広く担当できるITエンジニアのことです。
この記事ではフルスタックエンジニアが担当する開発業務をスキルと工程の視点から解説します。
ぜひ参考にしてください。
目次
フルスタックエンジニアとは
フルスタックエンジニアとは、開発業務を一人で幅広く担当できるITエンジニアのことです。
インフラ、プログラミング、業務、開発プロセスに精通しており、本来であれば分業して開発する範囲をフルスタックエンジニア一人が対応します。
そのため、知識やスキル、経験はもちろん、コミュニケーション力も必要となり、一般的には30代以降の中堅以上の方が多いでしょう。
フルスタックエンジニアが活躍する場面は、スタートアップや新規事業の立ち上げのシーンです。
このようなシーンでは機動力が必要で、質よりもスピードが重視されるため、有能なフルスタックエンジニアが大活躍をします。
ただし、一般的にはITエンジニアは人手不足のため有能なフルスタックエンジニアを採用することは難しいでしょう。
フルスタックエンジニアの定義は企業により範囲やレベル感は違う
残念ながらフルスタックエンジニアに明確な定義はありません。
そのため企業や上司、プロジェクトに求める範囲やレベル感は異なります。
中小のベンチャーで開発しているチームでは必然的に各々がフルスタックエンジニア化していることもあるでしょう。
ITエンジニアの職種内で分業化しておらず実現したいことを担当者がワンストップで全てこなすような場合はフルスタックエンジニアと呼べるでしょう。
この場合、コミュニケーションコストが激減するためスピーディーな開発ができます。
経験が豊富なため依頼者側が細かな指示出しや人員のアサインをしなくても開発が進むため、生産性はもちろん一緒に働く仲間も非常に負荷が少なくてすみます。
そのため、下記のような現場でフルスタックエンジニアが重宝されます。
- スタートアップの企業
- プロジェクトの開始時
逆に言えば、大手SIerでの開発現場では分業化が進んでおり、属人的な仕事よりも組織で開発をすすめるためフルスタックエンジニアが求められる場面は少ないでしょう。
フルスタックエンジニアに資格は不要
フルスタックエンジニアの資格は現在のところありません。
そのため資格を取得すればフルスタックエンジニアになれるというものではありません。
資格よりも働きぶりに評価をされてフルスタックエンジニアと認定される方が多いのではないでしょうか。
もちろん、フルスタックエンジニアとしての実力を裏付ける証拠として資格があることは採用側にも好印象を与えます。
しかしフルスタックエンジニアを目指すにあたり資格を取ることを重視する必要はないということです。
フルスタックエンジニアに求められる4つのスキル
フルスタックエンジニアはオールラウンダーなエンジニアで下記の工程を一人で実施できる知識とスキルが求められます。
- 要件定義
- 設計
- 開発
- 運用
求められるのは工程だけはなく、フルスタックエンジニアであれば下記のような専門分野も横断して対応求められます。
- インフラ
- ソフトウェア開発
- サービス運用
- プロジェクトマネジメント
フルスタックエンジニアを明確に定義できるものはありませんが、筆者がITエンジニアをする中で理解したエンジニア像は下記のようなイメージです。
下図から分かるとおりフルスタックエンジニアは幅広い領域をこなせるスペシャリストとなります。
開発にかかえる期間や費用などを主体的にリーダー陣と調整するコミュニケーション力も持ち合わせています。
そのため経営陣からの評価が高くなります。
それではフルスタックエンジニアの各スキルを細かく見ていきましょう。
インフラのスキル
インフラとはネットワークやデータベースサーバーやWebサーバーなどを指します。
サーバーのセットアップはもちろん、想定するアクセスに対してどれくらいのサーバースペックのマシンを用意すべきかなどの設計も行います。
日々のバックアップや万が一のリストア作業も計画しビジネスが致命的にダウンしないよう推進するスキルが必要です。
最近ではAWSやGCPを代表するようにクラウドコンピューティングが一般的となってきているためベンダー固有のサービスについて詳しくなる必要があります。
ソフトウェア開発のスキル
ソフトウェア開発には各プログラミング言語での開発スキルが求められます。
よく利用されるプログラミング言語の一覧は下記のとおりです。
- PHP
- Ruby
- Python
- Java
- C#
- JavaScript
複数言語に対して精通するのは難しいと感じるでしょうが実際は1つのプログラミング言語をマスターすれば他の言語は応用で切り抜けることもできるでしょう。
筆者の経験ではJavaやC#、PHPなどオブジェクト指向を1つ深く身につけることができれば他の言語も容易に習得が可能となります。
サービス運用のスキル
システムを作っただけではプロジェクトは成功しません。
どのようにシステムをユーザーに使ってもらうかを決めていきます。
そのためにはSLA設計や監視設計など、あらゆるケースを想定してシステムの責任範囲を明確化しましょう。
「ここまではウチの責任です」ということを明確にできれば、ビジネス上のトラブルを避けることができるでしょう。
プロジェクトマネジメントのスキル
フルスタックエンジニアは広範囲の業務をこなすことができますが、何もすべて1人でやるわけではありません。
複数人のチームで連携を取りながらシステム開発を進めていきます。
そのため、進捗管理やミーティングによる意思決定などマネジメントスキルも求められます。
フルスタックエンジニアのをやめておこうと感じた方へ
「フルスタックエンジニア」という言葉はありますが、最初からフルスタックエンジニアを目指して働いている人は少ないです。
というのも、「業務で必要なことをこなしていくうちにシステム開発におけるオールラウンダーになっていた」という人の方が多いのです。
常にインプット・アウトプットを繰り返し、スキルアップをしていくことがフルスタックエンジニアへの最短ルートです。
フルスタックエンジニアの年収
気になるのはフルスタックエンジニアの年収でしょう。
しかしながら、「フルスタックエンジニア」という職種としての年収データは存在しません。
Indeedでの求人情報を検索すると、フルスタックエンジニアは450万~1,000万円あたりを狙えるのがわかります。
参考:Indeed求人情報
エンジニアとして広範囲をカバーできるという意味でフルスタックエンジニアという言葉は使われます。
実際に企業がフルスタックエンジニアを求人に出すということは少なく、データが少し見えにくい傾向があるようです。
しかし、フルスタックエンジニアを名乗ることで高年収を手にすることはできるでしょう。
コラム:フルスタックエンジニアは市場にいないため高年収になりやすい
ここまで見てきてわかるようにフルスタックエンジニアになれる人材は極めて少数です。
設計から開発、運用まで精通しているというだけでも希少価値が高いですから、当然、高年収が期待できます。
もし、企業側がフルスタックエンジニアを採用したいとします。
その場合には外部から取るのではなく、自社で育成していく方針にしたほうが良いでしょう。
前述したとおり、フルスタックエンジニアとして活躍できるだけの人材はそうそう見つかるものではありません。
仮に見つかったとしても高額になりがちです。
であれば、自社で1から育て上げた方が将来的にも企業への貢献が期待できます。
そのためには良い技術者が育つ土壌が必要となってきます。
次はフルスタックエンジニアが育つ環境について紹介します。
フルスタックエンジニアになるには
フルスタックエンジニアになるには、または育てるには何が必要でしょうか。
それは「姿勢」と「環境」です。
人は環境で変化・成長する生き物と言われています。
いくら机上で知識だけを学んでも現場で活かせなければ意味がありません。
実際に任せてもらえる環境がなければ成長は見込めないでしょう。
また、学ぶ姿勢がない人間にいくら任せても結果が出ないのは明白です。
常に向上心と好奇心を持って仕事に取り組む姿勢は大切にしておきたいところです。
フルスタックエンジニアになるには3〜5年以上常に学び・実践する姿勢が必要
フルスタックエンジニアになるには最低でも3~5年の期間が必要と考えられています。
システム開発というのは一朝一夕で学べるものではありません。
「エンジニア」という言葉だけでも
- アプリケーションエンジニア
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
といったように細分化された職種があるくらいです。
これらの業務をすべて1人でこなせるようになるには相当の期間が必要となります。
そして、常に技術を貪欲に吸収する姿勢が一番重要です。
自ら学び続ける姿勢があれば独学でフルスタックエンジニアになれるでしょう。
ただし、それには全てを自分で解決する意識が必要です。
特定の工程やスキル、役割をこなすだけではなく、積極的に新しい分野にチャレンジすることが重要です。
10〜30人程度の企業で積極的に任せられる企業を選ぶ
フルスタックエンジニアへの最短ルートを進みたいのであれば、大企業ではなく中小企業の方がおすすめでしょう。
なぜなら、大企業ではたくさんの人材が活躍できるポストを用意するために業務の細分化が進んでいるからです。
つまり、フルスタックエンジニアが養成されにくい土壌ができてしまっているのです。
その点、中小企業では1人でなんでもできる人の方が重宝されやすいという傾向があります。
そのためフルスタックエンジニアを目指しやすい環境が揃っているといえるでしょう。
そのときに注意したい点が、「技術を大事にする会社」であるかです。
社長がエンジニアであると、技術を大切に扱う傾向にありますが、営業主体の会社では技術者は育まれません。
企業や社長の理念や開発部署の文化などをしっかり見て、就職先を選ぶ必要があります。
そのような就職先は求人を見ていても分からないため転職エージェントから提案をもらう必要があります。
フルスタックエンジニアの求人を探すなら転職エージェントに相談がおすすめ
フルスタックエンジニアの求人を探すながら転職エージェントに相談することがおすすめです。
なぜなら、企業に訪問しエンジニア採用の背景や文化などを実際に見聞きしているからです。
とくにIT専門の転職エージェントは濃い情報を多く保有しています。
ここでは実際に転職したエンジニアの評判が良いエージェントを2つ紹介いたします。
複数利用して情報収集することがおすすめです。
おすすめNo1:マイナビIT AGENT
マイナビIT AGENTは転職業界大手のマイナビAGENTがIT・Web業界に特化するために設立したエージェントです。
IT業界は専門的な知識が求められるため、こうした特化部門が作られることが少なくありません。
マイナビIT AGENTは独占案件、非公開案件を数多く抱えているエージェンです。
IT業界で転職するのであれば登録しておきたいエージェントといえるでしょう。
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おすすめNo2:レバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界に精通したコンサルタントを数多く擁するエージェントとして有名です。
レバテックキャリアはコンサルタント一人ひとりがIT業界に精通しているだけではありません。
年間3,000回を超える企業訪問をしており、企業文化、プロジェクトの進め方まで詳細に把握しているのです。
そのため、自分の希望にあった企業を紹介してくれることで人気のエージェントです。
>レバテックキャリアはこちら
フルスタックエンジニアについてよくある質問
フルスタックエンジニアについてよくある質問について回答していきます。
多くの方が疑問に感じている内容ですので、フルスタックエンジニアに興味がある方はぜひ理解しみましょう。
フルスタックエンジニアって何?
フルスタックエンジニアとはプログラミング・アーキテクチャ・インフラ・サービス運用といったマルチなスキルを保有し、要件定義から運用までをこなせるオールラウンドなエンジニアのことです。
フルスタックエンジニアの年収は?
「フルスタックエンジニア」という職種としての年収データは存在しませんがNTTデータでの求人情報を参考にすれば、フルスタックエンジニアは450万~1,000万円あたりを狙えるのがわかります。
フルスタックエンジニアになるには?
フルスタックエンジニアになるには最低でも3~5年の期間が必要です。 フルスタックエンジニアへの最短ルートを進みたいのであれば、大企業ではなく中小企業の方がおすすめでしょう。 そのときに注意したい点が、「技術を大事にする会社」であるかです。
まとめ
フルスタックエンジニアはエンジニアとして多くの経験、知識、スキルを身につけた人だけがなることができる職種です。
各分野に特化したスペシャリストを目指すのも良いですが、オールラウンダーを目指すのも自分の市場価値を高める1つの方法だといえるでしょう。
これを機にフルスタックエンジニアを目指してみてはいかがでしょうか。