工場(製造業)に未経験から転職するのは可能です。
工場への転職を検討する際は以下の点をチェックしておきましょう。
- 職場環境
- 勤務形態
- 評価制度
上記を知っておかないと、入社してから夜勤がきついなどの理由で短期離職につながる恐れもあります。
この記事では、工場への転職に必要な知識や、工場で働くのに向いている人の特徴なども解説します。
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目次
工場転職は未経験でも大丈夫?工場の仕事内容と特徴
結論から申し上げますと、20~30代であれば、工場への転職はそこまで難易度は高くない状況です。
実際、筆者は一部上場の製造業に10年勤めていました。
その経験からお伝えすると20代後半から30代の中途入社が目立っています。
理由として、伸び悩む昇給昇格制度や、そもそも工場は従業員の人数規模が大きいことから、人の出入りが多いため、定期的に求人募集している特徴があります。
転職の難易度は誰もが知る大手企業の場合、高い知名度や高水準の給与体系、手厚い福利厚生などの影響で求人倍率は高く難しくなります。
ですが工場の転職市場全体で見れば敷居は低い状況です。
さらに工場は仕事内容がきちんとマニュアル化されているため未経験でも就業は可能です。
そのため、スキルや経験というよりも「きちんと出社して真面目に働けるか」というポイントを重視されます。
工場の仕事内容と働き方については、以下の表を参考にしてください。
担当業務 | 仕事内容 | 仕事の特徴 |
---|---|---|
ライン業務 | 車の組立工場などで多く見られる作業方法で、マニュアル化された仕事を繰り返し行います。未経験者でもすぐに作業できるよう、働き方が整備されているのが特徴です。 | 決められた動作を続けることが苦じゃない人であれば、抵抗なく働けます。オン・オフのメリハリをつけて働きたい人におすすめです。ただし、就業時間内はラインを止めずに動き続けるため、途中でトイレに行ったり、自分のペースで働けないことが、人によってはストレスに感じてしまいます。 |
製造業務 | 電化製品や車の部品などを製造する工場では、機械操作や手作業で行う作業が多岐にわたってあります。そのため、ライン作業のような流れ作業よりも、状況に応じた判断力が求められます。 | 工場によっては、重量物の運搬や溶解炉の近くで仕事をするため、体力に自信がある方におすすめです。覚える仕事も多いことから、慣れるまでに苦労します。ライン作業とは違い、作業の創意工夫の余地があるため、自分のペースで仕事を効率よく回すことも可能です。 |
オペレーター業務 | 電力会社や製油所で行われるオペレーション業務は、24時間稼働の三交替勤務で対応します。基本的には自動運転での監視作業がメイン業務になるため、オペレーションルームで業務することが多くなります。 | 工場勤務の中では過ごしやすい就業環境と言えます。ただし、仕事に創意工夫の余地があまりないため、多動な人には退屈に感じる仕事でもあります。また、24時間稼働している職場が多いため、夜勤対応可能な人が求められます。監視業務がメイン業務ですので、体への負担は低いと言えます。 |
このように一口に工場勤務といっても、働き方は業界や担当によってさまざまですので、上記の一覧表を参考にして、求人票を確認するようにしましょう。
工場転職は30代や40代も未経験で転職可能?
工場転職は30代、40代の未経験でも転職が可能な貴重な業種です。
長年蓄積されたノウハウと徹底して最適化されたマニュアルにより、誰でも作業できるよう職場環境が整えられています。
これらは、作業のムリ・ムダを徹底的に排除する「改善活動」の賜物で、未経験の方でも即戦力として活躍できる充実した研修制度も魅力の一つです。
そのため、工場では
- 元営業職
- 元保険会社勤務
- 元トラック運転手
といったように、工場とは無関係な業種で働いていた中途採用者が活躍しています。
筆者も元自動車整備士として働いていましたが、「機械の整備」という意味では共通点も多く、すぐに仕事に慣れることができました。
工場未経験でも転職は可能ですが、
- 工場、倉庫勤務経験
- 現場作業経験
- 機械や重機の操作経験
といったように、工場に活かせそうな経験があると、採用される確率が高くなります。
また、前職が派遣社員(期間工)だとしても、工場経験があることで、未経験者よりも有利になる可能性は十分にあります。
仮に求人が契約社員採用(もしくは派遣社員採用)であっても、仕事に対する姿勢が認められれば、「派遣社員⇒契約社員⇒社員」といったキャリアチェンジも望めます。
事実として、筆者の職場でも優秀な派遣社員の方々は、1年もしないうちに契約社員(もしくは社員)への打診を受けています。
それだけ工場は優秀な人材の確保が難しいということです。
30代、40代の工場未経験だとしても、豊富な社会人経験やリーダー経験を積極的にアピールしましょう。
工場転職で失敗しないために知っておくべき労働環境
世間からの工場のイメージは、
- 仕事がきつそう
- 三交替勤務が大変
- 単純作業がつまらなそう
といったように、労働環境にネガティブなイメージが多いように感じます。
ただ実際には、工場勤務と言っても配属される職場や、担当する職務によって働き方は変わります。
- 流れ作業(ライン生産方式)
- 組立て作業(セル生産方式)
- 機械・装置の運転
- 設備の修理、メンテナンス
といったものが、一般的な工場の現場での働き方になります。
その他にも、
- 製品の検品作業
- 倉庫管理
- 品質保証
- 購買業務
など、事務的な仕事も工場にはたくさんありますので、前職での経験を活かせる求人に応募することが、採用に近づく大切なポイントになります。
当然ながら、事務職であれば労働環境にも恵まれていますので、体力に自信のない方は内勤業務の求人を探しましょう。
筆者の経験談としては、現場採用であっても、パソコンのスキルやコミュニケーションスキルが高ければ、早々にスタッフ業務(工程管理など)に配置転換してもらえます。
どうしても工場の製造現場では、
- パソコンが苦手
- 人付き合いが苦手
- 受け身な姿勢
という方々が多いため、手を上げれば活躍するチャンスは意外と眠っているのです。
ここからは具体的に、工場の労働環境について触れていきたいと思います。
職場環境
工場の職場環境は、生産するモノによって大きく異なります。
- ガソリンやオイルを製造する製油所
- 電化製品を組み立てる工場
- 電子部品を製造する化学工場
など、一口に工場といってもさまざまな働き方があるのです。
工場転職で一番気になるのが、働き方や職場の環境かと思いますので、代表的な現場の作業環境を以下に紹介します。
【代表的な工場の職場環境一覧】
作業場の種類 | 職場環境 |
---|---|
暑熱職場 | 暑熱、多湿の屋内作業 |
騒音職場 | 機械の作動音など著しい騒音を発する作業 |
粉じん発生職場 | 鉱物、金属、岩石などの粉じんを発生させる作業 |
酸素欠乏危険作業 | 空気中の酸素濃度が低下しやすい場所での作業 |
工場によっては、上記のような過酷な職場環境に配置される恐れがあることを想定しておきましょう。
ただし、家電製品や医薬品など、異物混入や衛生環境を整えている工場であれば、クリーンルームなどで働くことができます。
オペレーション業務なども、24時間稼働している三交替勤務ではありますが、基本的には自動運転で監視作業がメイン業務になるため、工場の中では過ごしやすい就業環境と言えます。
勤務形態
工場の求人に応募する際は、三交替の可能性があるか否かをチェックしておきましょう。
24時間365日フル稼働している工場であれば、1年間を24時間のローテーションシフトで対応することになります。
24時間を四班で回す「四班三交替」が主流となりますが、朝・昼・晩と週替わりで勤務形態が変わるため、三交替サイクルに慣れない方は、睡眠不足で体調を崩してしまいます。
工場の業種によっては、連日連夜危険な作業を行いますので、体力に自信のない方は必ず勤務形態を確認しておきましょう。
評価制度
日系の工場であれば、往々にして年功序列要素がベースとなっていることから、階段を一歩一歩上るような昇給形態になります。
近年、能力主義を盛り込んだ評価制度も導入されていますが、基本的には
- 年齢順
- 入社した順
で昇給昇格するのが一般的です。
筆者も10年間工場に勤めましたが、現場の一作業員がどんなに頑張って働いても、昇給昇格に多大な影響を与えるほどの結果を残すのは難しいと言えます。
特に中途入社の場合は、プロパー社員(新入社員からの生え抜き)との格差はぬぐい切れません。
もし
「個人の頑張り(成果)を正当に評価して欲しい」
「働かないおじさんより給料が安いのが納得いかない」
「30代で年収1,000万を目指したい」
という、個の能力を正当に評価して欲しい人には、工場勤務は向いていないと言えるでしょう。
工場転職に失敗しがちな人の特徴は3つ
筆者は10年間工場に勤め、労働組合の執行委員まで経験しましたので、工場に転職して失敗した人をたくさん見てきました。
筆者も工場勤務のカルチャーがフィットしなくなってきたので、転職を検討し始めた一人です。
筆者の経験談を元に、工場勤めが向いていない人の特徴をご紹介しますので、工場に転職を検討する際の参考にしてください。
- 特徴1:評価制度にこだわりが強い
- 特徴2:成長意欲が高い
- 特徴3:クリエイティブ思考
まずは一つ目の特徴です。
特徴1:評価制度にこだわりが強い
もしあなたが、
「中途採用でも個の能力を評価して欲しい」
「年齢に関係なくスキルで勝負したい」
「年功序列ではなく仕事の成果がすべて」
という「仕事の成果=評価」という考えの方は、工場勤務には向いていません。
中途入社者で何度もこの手の考えを持った方を見てきましたが、年功序列要素が色濃く残る工場勤めは向いていないと言わざるを得ません。
少しでも心の片隅に評価制度にこだわりがある方は、工場への転職は避けましょう。
特徴2:成長意欲が高い
特徴1の「評価制度にこだわりが強い人」にも似ていますが、自分自身を常に高めている成長意欲の高い人も、工場の年功序列の壁にぶつかります。
自己研鑽はサラリーマンとして素晴らしい行動ですが、自身の成長と昇給昇格制度が必ずしもイコールとはなりません。
筆者のように一定の年数(5~10年程度)勤めると、すぐに昇給昇格の限界を感じるようになります。
そのため、「さらに上を目指すなら転職しかない」と思うようになりますので、ビジネスパーソンとして常に自己成長に喜びを感じている人は、工場勤務に向いてないと言えます。
特徴3:クリエイティブ思考
ゼロからイチを生み出すようなクリエイティブ思考の人も、工場に転職することで苦しい思いをします。
工場は与えられた業務を確実にこなすことを求められますので、日頃から創意工夫を凝らして働くスタイルとは真逆に位置します。
歴史の長い工場であれば、マニュアル化された業務を逸脱するようなやり方は毛嫌いされます。
「こうすればもっと仕事が早くなるのに」
「最新のテクノロジーで改善できそう」
「適材適所で自由に仕事を回していきたい」
といった柔軟な考え方が反映されづらいのが、工場の弱みとも言えるでしょう。
工場では機械的に立ち回れる人が重宝されますので、自由闊達なクリエイティブ思考の方は沙汰される傾向にあります。
【コラム】10年勤めた工場を筆者が辞めた理由
筆者は一部上場企業の化学品メーカーに10年間勤めましたが、会社の規模が大きいから良いとは決して思いませんでした。
退職した理由の結論から申し上げますと、
- 年功序列要素が強すぎること
- 多拠点化が進んで転勤の可能性が高まったこと
- 自己成長の場としてはふさわしくないと感じた
大まかにこの3点が退職の理由となります。
労働組合の執行委員を経験し、昇給昇格制度の全容が見えたことで、自分自身のトッププロモートと現実ラインを目の当たりにし、魅力が薄れてしまったことも原因です。
ただし、ニュースで目にするいわゆるブラック企業の匂いは一切なく、労働組合がしっかりと機能しているため、労働環境は決して悪くない会社でした。
居心地が良かったからこそ10年も勤めることができましたので、お陰様で円満退社をすることができました。
先ほども詳しく解説しましたが、工場勤務は与えられた職務を機械的に全うできる人が重宝されます。
筆者は工場で色々な人を見てきましたが、内向的で寡黙な方が20年、30年と長らく働いているイメージがあります。
【経験者が語る】工場勤務が向いている人の特徴4個
転職を成功に導くカギは、工場特有の職場環境に適応できるかが重要なポイントです。
決して華やかなイメージはありませんが、堅実に働きたい人にはおすすめの業種と言えます。
ここでは、工場で働くことが向いている人の特徴を4個ご紹介したいと思います。
「工場で働くか悩んでいる」
「工場勤務に向いているか知りたい」
「少しでもミスマッチをなくしたい」
といった声に少しでもお応えできればと思います。
工場勤務の特徴は次の4つです。
- 特徴1:安定収入を得たい人
- 特徴2:一つの作業に集中したい人
- 特徴3:福利厚生を重視する人
- 特徴4:プライベートを大切にしたい人
それでは特徴を一つずつ解説したいと思います。
特徴1:安定収入を得たい人
会社の規模の大きさや歴史が長い工場ほど、安定した収入に期待ができます。
経営基盤のしっかりとしている企業であれば、年2回の手厚いボーナスも魅力の一つです。
安定収入の指標として、工場を経営する上でのリスク分散(BCP)や、事業拡大に伴う設備投資を積極的に行っているかがポイントです。
経営基盤が整っていれば、余程のことがない限り、賃金未払いなどのリスクは低いと言えるでしょう。
ただし、工場の給料は年功序列を採用している企業が多くあります。
成果を出せばすぐに評価されるわけではありませんのでご注意ください。
特徴2:一つの作業に集中したい人
工場の従業員数は数百人~数万人と人数こそ多いものの、作業自体は黙々と一人で作業する働き方がほとんどです。
現場作業、事務作業ともに一人一人に仕事が割り振られるため、一つの作業に集中したい人には工場は最適です。
仕事を進める上で、他部署とのやり取りやチーム単位で動くこともありますが、接客業やサービス業のような対人関係の負担が少ないと言えます。
仕事中の雑談が苦手な方や、黙々と行う単純作業が好きな方には、工場は恵まれた就業環境です。
特徴3:福利厚生を重視する人
工場は安定した収入と同様に、充実した手厚い福利厚生が魅力です。
工場の規模によっては、年間で何十万~何百万円もの手厚い補助を受けることができます。
例えば、
- 家賃補助、住宅手当、借り上げ社宅、独身寮
- 各種保険(雇用保険、健康保険、団体保険)
- 年金(厚生年金、企業年金、確定拠出年金)
- 交通費(ガソリン代、定期代)
- 財形貯蓄制度
など、社員の実費負担を抑えるための制度が充実しているのが特徴です。
メーカー勤務であれば、自社の商品やサービスを利用する際に、割引価格で購入できるのも魅力の一つです。
福利厚生が手厚いほど、年収プラスαとして家計への負担軽減が可能になります。
特徴4:プライベートを大切にしたい人
工場はメリハリのある勤務が可能ですので、就業時間外のプライベート時間を大切にしたい人にもおすすめです。
仕事の区切りがつけやすい業種ですので、サービス業のような不規則な働き方になりづらいのです。
三交替勤務であっても、複数の班で24時間を回しますので、残業という概念がそもそもないのです。
(トラブル対応などはあります)
そのため、
「仕事内容にあまりこだわりがない」
「仕事よりもプライベートを重視したい」
「手堅く稼ぎたい」
といった考えを持っている方に工場勤務はおすすめです。
工場選びのポイント
工場への転職で気を付けたいポイントは、
- 職場環境
- 待遇面
- 労働条件
この3つに注目して求人を探しましょう。
「過酷な職場なのか?空調の効いた環境なのか?」
「採用条件が社員なのか?派遣社員なのか?」
「日勤なのか?三交替勤務があるのか?」
といったように、目先の給料や年間休日にとらわれず、なるべく多くの会社情報を収集しましょう。
工場転職で失敗している人の特徴として、事前の情報収集が少なすぎると言えます。
家から近いからという理由であったり、福利厚生が充実しているという理由で転職してきた人は、想像していた職場環境と乖離していた場合、すぐに辞めることになります。
短期離職は再転職時に不利となります。
仕事選びで失敗しないためにも、次の項で紹介する転職サイトを有効活用しましょう。
工場の求人探しに強い転職サイト4つ
やみくもに仕事探しをしてしまうと、転職活動に時間が掛かってしまったり、採用後のミスマッチを起こすなどのリスクが伴います。
転職活動を成功させるためにも、自分にぴったりの求人を探し出す転職サイトの存在は欠かせません。
筆者の経験としては、転職サイトに登録する際はなるべく1つのサービスだけではなく、2~3個登録しておくをおすすめします。
そうした方が幅広く求人に応募することができるためです。
それでは、おすすめの転職サイトを一つずつご紹介していきます。
メーカーに強いマイナビAGENT
マイナビAGENTは業界でも大手の転職エージェントです。
特にメーカーの求人に強みを持っており、好待遇な工場で働きたい方におすすめです。
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国内大手メーカーの工場求人が豊富なはたらくヨロコビ
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車やバイク、半導体、医療機器など幅広い業種の求人を取り扱っており、全国の500社以上の大手メーカーとの取引実績があります。
社宅・寮完備の求人も多く、最短で求人紹介の翌日には入社するというスピード内定の可能性もあります。
掲載されている求人の8割が未経験でも応募可能な求人なので、工場への転職を考えているのであればまずは登録しておきましょう。
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まとめ
本記事では、筆者も実際に働いている工場について、実体験を元にご紹介してきました。
工場の世間のイメージとして、
- 仕事がきつそう
- パワハラが多そう
- 単純作業ばかりで飽きそう
といったように、ネガティブな労働環境を想像する方が多いと感じます。
しかし実際には、
- 知識や技術が必要な業務もある
- オフィスワークのような内勤業務もある
- 配属先によっては専門性を磨くこともできる
など、世間の工場のイメージとは違った働き方もあります。
少しでも工場勤務に興味のある方は、是非とも今回の記事を参考にして、転職活動を進めて頂ければ幸いです。